自動車や家電などのメーカーで働く手段に、期間工や派遣社員の求人に応募する方法があります。
どちらも一定の契約期間で働く雇用形態ですが、期間工と派遣ではどっちがいいのか悩む方も多いでしょう。
そこで今回は、期間工と派遣の違いを比較しつつ、どっちがおすすめなのかご紹介します。
製造工場での仕事に興味がある、短期間で稼ぎたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
期間工と派遣社員はどっちがいいの?その違いとは?
期間工と派遣社員が共通する点は、どちらも正社員ではなく一定の契約期間内で働く非正規雇用となる点です。
自分にはどっちが合っているのか選ぶためにも、各雇用形態の違いを把握していきましょう。
・雇用主の違い
期間工と派遣社員の大きな違いは、雇用主が異なることです。
期間工の場合、企業と直接契約するので、いわゆる契約社員として所有する工場で働くことになります。
給与の支給も企業から、福利厚生・待遇も企業が実施するものが適用されます。
一方、派遣社員の雇用主は、仕事を紹介してくれる派遣会社です。
そのため、給与の支給と福利厚生も派遣会社の規定が適用されます。
・給与の違い
期間工は時給もしくは日給制で、相場は時給1,200円前後、日給は1万円前後です。
派遣社員は時給制で、相場は1,000~1,400円前後(日給換算1万円前後)です。
相場を見る限り期間工も派遣社員も給与の大差はないと思いますが、期間工は手当が豊富に付く特徴があります。
企業によって支給される手当は異なりますが、以下のものが挙げられます。
【期間工の主な手当】
・入社祝い金
・満了祝い金
・夜勤手当
・経験者手当
・勤続ボーナス
・皆勤手当
手当によって支給のタイミングは異なりますが、入社祝い金のある企業では入社した際のボーナスを受け取れて、満了祝い金があれば更新のタイミングで支給されます。
一度に5万~10万円以上のボーナスを受け取れるので、契約期間が長くなるほどしっかり稼ぐことが可能です。
派遣社員の給与は基本給+残業代が基本なので、手当の多い期間工よりも収入が下回る可能性があります。
・待遇の違い
期間工は、派遣社員と比べると待遇も手厚いものとなっています。
【期間工の主な待遇】
・寮費・光熱費無料または補助
・食事補助
・赴任・帰任旅行費の支給
期間工では、待遇として寮への入居でき、その家賃や光熱費は無料、かかっても数千円程度で済みます。
また、食堂の利用や食費手当を出す企業も多いです。
赴任する際には、その交通費や荷物を輸送する費用なども支給されることがあります。
・契約期間の違い
期間工は、3ヶ月や6ヶ月、8ヶ月の勤務を条件に人材を募集しています。
そして、1回目の契約が期間満了となっても、契約を更新することで最大2年11ヶ月は同じ職場で働くことが可能です。
派遣社員も契約期間が満了となると、更新により契約期間を延長できます。
1回の契約期間については法律では特に決められておらず、3ヶ月ごとの更新が一般的です。
上限は3年までとなっているので、それ以上の年数で働くことはできません。
ただし、3年ルールが適用されるのは、“同一の事業所かつ同一の部署”であり、部署を移動すれば同じ事業所で再び3年間働けます。
・失業保険の受給タイミングの違い
雇用保険の加入期間が12ヶ月以上の場合、退職した際に失業保険の受給が可能です。
期間工と派遣では、この失業保険が受給されるタイミングにも違いがあります。
そもそも失業保険が受給されるタイミングは、自己都合による退職か、会社都合によって変わってきます。
自己都合の場合は、3ヶ月間の待機期間が設けられるため、ハローワークに申請してから4ヶ月は待たなければなりません。
一方、会社都合の場合は、ハローワークに申請からの待機期間はわずか7日間なので、自己都合より早く支給されます。
期間工の場合、12ヶ月以上の契約満了で辞めると満了退職となり、会社都合と同じく失業保険の待機期間は短くなります。
派遣社員は契約が終了すると、派遣会社からすぐに新しい仕事を紹介されることが多いです。
紹介された仕事を断って派遣会社を辞めた場合、自己都合での退職と判断されてしまうため、失業保険を受け取るまで時間がかかってしまいます。
期間工のメリット・デメリット
期間工と派遣のどちらが良いのか悩んだ時は、それぞれのメリットとデメリットを比較してみると良いでしょう。
まずは期間工のメリットとデメリットをご紹介します。
【メリット】
・大手企業で仕事ができる
期間工を募集している企業の大半は日本を代表する大手企業です。
本来入社が難しい大企業でも、期間工であれば採用され、働ける可能性があります。
大企業は収入や福利厚生など雇用条件が良いケースが多いので、安心して仕事ができるメリットがあります。
・稼ぎやすい
期間工は一般的な工場アルバイトよりも時給・日給が高めです。
また、様々な手当てが支給されるので、ボーナスにも期待できます。
皆勤手当や満了慰労金が支給される場合は更新のたびに支給されるので、契約期間が長くなるほど収入をアップできます。
・福利厚生が充実している
期間工は雇用主が大手企業となることが多く、その会社の福利厚生を受けられる点も大きなメリットです。
企業の契約社員として雇用されるので、有給休暇や雇用保険、健康保険、厚生年金、介護保険といった社会保険も適用されます。
他にも無料または安価で寮に入居できるほか、水道光熱費や食費の補助を受けられるケースも多いです。
地方から来た場合は居住先に困らず、さらに生活費を大幅に抑えられるというメリットがあります。
生活費の支出が減る分、趣味や貯金に回すお金を増やすことも可能です。
・未経験者でもチャレンジしやすい
期間工の仕事の中には、特別なスキルや知識がなくてもできるものもあります。
そのため、業界や職種、社会人の経験がなくても応募できる求人も豊富です。
マニュアルや先輩・上司の指導から仕事を覚えることができ、働きながら経験を積んでいけます。
・正社員への登用の可能性もある
正社員への登用制度を用意していることもあります。
仕事ぶりから企業が欲しい人材だと思われれば、契約社員から正社員へとキャリアアップに期待できます。
【デメリット】
・単調な仕事の繰り返し・肉体労働となる
期間工の仕事は、毎日同じ作業の繰り返しになることが多いです。
単調な作業の楽しみ方を見いだせないと、代わり映えしない作業に退屈してしまう可能性もあります。
また、期間工は基本的に肉体労働です。
部署によっては1日中立ちっぱなしや中腰での作業となることもあれば、大きなものを運ぶなど力仕事が必要になることもあります。
・働ける期間に上限がある
前述したように、期間工には働ける期間の上限があります。
最長2年11ヶ月までしか働けないので、期間満了となったら新しい仕事を探さなければなりません。
・希望の配属先・仕事になるとは限らない
入社後の配属先や仕事内容は、自分の希望を考慮してもらえる可能性があります。
しかし、企業の方針や現状の人員配置、スタッフの増減などの事情から確実に希望が通るわけではないので注意してください。
特に希望がない場合は大したデメリットではありませんが、希望がある場合はそれに添えないケースもあることを念頭に置いておきましょう。
・生活サイクルが乱れてしまう可能性がある
期間工は二交代勤務や三交代勤務となることが多く、その場合は夜勤が発生します。
毎週勤務時間が変わってしまうので、生活サイクルが乱れてしまい、疲労の蓄積によって体調を崩してしまう可能性もあるでしょう。
ただし、生活サイクルの乱れに悩むのは最初のうちで、仕事に慣れてくると気にならないという声もあります。
勤務時間の変動しやすい環境では、自己管理がより重要です。
派遣社員のメリット・デメリット
続いては、派遣社員のメリットとデメリットを見ていきましょう。
【メリット】
・製造業以外の選択肢もある
派遣会社には色々な種類があり、特定の分野に特化しているところもあれば幅広い業種・職種に対応しているところもあります。
総合的に派遣を行っている会社の場合、製造業以外の仕事も派遣先の候補にすることが可能です。
製造業の仕事が自分に合わなかった時は、それ以外で自分に向いている仕事を紹介してもらえるのは派遣の強みです。
・社会保険も加入できる
派遣社員の場合、福利厚生は派遣会社のものが適用され、社会保険に加入して働くことが可能です。
社会保険の加入には色々条件がありますが、2ヶ月以上の就労期間が見込まれる場合は2ヶ月を超えた日から社会保険に加入できます。
社会保険に加入していれば、労災時の補償や退職後の失業保険の受給などを受けられるので、安心して仕事ができます。
派遣会社に登録する際は、社会保険に加入できるかどうかしっかり確認しておきましょう。
・派遣会社からのサポートがある
派遣社員は、派遣会社のスタッフによるサポートを受けられるのもメリットです。
仕事探しはもちろん、定期的にスタッフが様子を見に派遣先を訪問し、仕事に関する悩みの相談やフォローアップをしてくれます。
派遣会社のスタッフが常駐していて、いつでも相談できる環境が整っているケースもあります。
・研修によりキャリアアップできる
派遣会社によっては、キャリアアップを目的とした研修や勉強会などを実施しているところもあります。
研修を通じて新しいスキルの取得やレベルアップにより、仕事の幅を広げることが可能です。
【デメリット】
・職場経験でのキャリアアップは難しい
派遣社員は最長3年間まで同じ職場で働けます。
そのため、同じ職場・部署に長く勤めてキャリアアップを目指すのは難しいことがデメリットです。
ただし、職場や仕事が自分に合わないと思った時は、更新せずに次の職場を探せるので、自由度の高い働き方と言えます。
・責任のある仕事は任せてもらえない
働ける期間が限られているので、職場で長く働く正社員と比べて熟練度や職場内のキャリア形成に大きな違いがあります。
そのため、責任のある仕事はなかなか任せてもらえない可能性があります。
一つの職場で色々な仕事を経験してみたいという人には、少々やりがいを感じにくいでしょう。
・期間工や正社員と比べて給与が低い
契約社員は時給で給料が決まり、さらに期間工のように手厚い手当やボーナスがないので、給与が低めです。
仕事や職場選びの自由度の高さが魅力ですが、短期間でがっつり稼ぎたい人には向いていません。
期間工・派遣社員に向いている人とは?
期間工と派遣社員、それぞれどんな人に向いているのでしょうか。
ここで、期間工が向いている人と派遣社員が向いている人の特徴をご紹介します。
【期間工が向いている人の特徴】
期間工が向いている人の特徴は以下のとおりです。
・モノづくりの仕事が好き、興味がある
・体力に自信があり、肉体労働も苦じゃない
・単調な作業が好き、得意
・短期間でしっかり稼ぎたい
・生活費の負担を抑えながら稼ぎたい
期間工は製造工場で勤務することになるので、製造業の仕事が好き、興味がある人に最適です。
肉体労働が基本なので、体力に自信がある人も向いています。
また、単調な作業の繰り返しとなるので、同じ作業を繰り返し行うことが苦に感じない人も向いています。
手当やボーナスにより高収入を狙え、さらに寮手当や食費の補助などの待遇も受けられるので、短期間でしっかり稼ぎたい人にもおすすめです。
【派遣社員が向いている人の特徴】
・給与よりもライフスタイルを重視して働きたい
・色々な仕事や職場にチャレンジしてみたい
・自分がやりたい仕事に専念したい
派遣では、働く期間から場所、勤務する曜日・時間帯など自分の希望条件に合わせて仕事を探せます。
給与は期間工ほど高くありませんが、ライフスタイルに合わせて働きたい人にとっては魅力的でしょう。
一つの仕事や職場にこだわらず、色々な仕事・職場で働き、経験が積めるのも派遣の魅力です。
また、契約した業務以外の仕事をすることはないので、自分がやりたいと思う仕事に専念し、スキルアップしていくことも可能です。
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まとめ
期間工と派遣、一概にどちらが良いという基準はありません。
しかし、雇用主や給与、待遇、失業保険の受給タイミング、メリット・デメリットなど色々と違いがあるので、自分が優先したいことを基準にどちらの働き方が良いのか選ぶと良いでしょう。
モノづくりの仕事がしたい、しっかり稼ぎたいというのであれば、派遣よりも期間工が向いています。
期間工と派遣の特徴、違いを理解して自分に合った働き方を検討し、ぜひ求人を探してみてください。
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